2013年5月31日金曜日

ハルミちゃんのこと



ハルミちゃんは1973年に発売された二代目リカちゃんのお友達だ。
リカちゃん・パットちゃんと「リカちゃんなかよしトリオ」を結成、
共に白樺学園に通う。


スーパーマーケットの一人娘という設定だったが、
後にお医者さんである姉のエミリー先生が登場する。





従姉はハルミちゃんがお気に入りだったようだ。
自分の顔の横までハルミちゃんを持ち上げて誇らしげに言った。
「これハルミちゃん!同じ名前なんだよ!」
そう、従姉もハルミちゃんだったのだ。


自分と同じ名前の人形なんて別に欲しくなかった。
マリーちゃんとかそんな名前になりたかった私は
そんなの羨ましくもなんともなかったのだ。
大体人形に自分の名前が付いていたら呼びにくいではないか。






もう十年以上前になる。
妹と姪と一緒にホビー系のイベントに行った。
あの頃はまだドール系のイベントが少なかったんだと思う。
ホビー系、といってもドールを扱っているところが多少はあったのだ。


いろんなおもちゃがあった気がする。
その中に混じってハルミちゃんがいた。
状態はとてもいい。


こんなイベントだし高そうだな、と思いつつ値段を聞いてみたら
予想よりはるかに安かった。
確か二千円だったと思う。
てっきり何万なんて言われるものだと思っていた。


「なんでそんなに安いんですか?」
ちょっと怪しんで聞いてみると足に落ちない汚れがあるという。
見ると黒い点が足に染み込んでいた。
なんだこんなもんか、と拍子抜けしてこれを買った。


髪はストレート。
ハルミちゃんにストレートバージョンがあるなんて知らなかった。
あの頃は髪型違いなんてあまりなかったので。






何年前だったか骨董市へ行ったらレディリカのお友達のジュンを発見した。
値段を聞いたら(表示されてないことがほとんどなのだ)
これも確か二千円くらいだった。


だが横にあるハルミちゃんもセットだという。
ハルミちゃんはいらないよ!と思ったがバラ売りはしないそう。
うちのと違ってカールした髪だし状態はいいし、まぁいいか。






こうしてうちのハルミちゃんはふたごになった。





2013年5月23日木曜日

あいLOVEポピーちゃん



『あいLOVEポピーちゃん』(あいラブポピーちゃん)は、
峡塚のん・加津綾子による日本の漫画作品。
『なかよし』(講談社)にて1975年10月号から
1976年9月号まで連載された。

Wikipediaより






少女漫画はそれなりに読んだが、なかよし系はあまり読まなかった。
それでもこの「あいLOVEポピーちゃん」という漫画の存在は知っていた。


うちにあった数少ないなかよし系漫画のコミックスの巻末に載っていたので。
だが何に載っていたのかがわからない。


手元にある古いなかよし系コミックス(二冊しかないけど)を見てみたがない。






ホビー系雑誌のコラムで「スターにんぎょうポピーちゃん」の
存在を知ったのは大人になってからだ。


小学三年生の女の子春野さくらが芸能人やアニメキャラに扮している
言わばコスプレドール。


「あいLOVEポピーちゃん」はこの「スターにんぎょうポピーちゃん」の
宣伝のための漫画だったのだそうだ。


そして「あいLOVEポピーちゃん」の原作者、加津綾子は
=名木田恵子(青池保子の「ミリアム・ブルーの湖」だね)
=水木杏子(言わずと知れたキャンディ♡キャンディ)なのだそうだ。


原ちえこ(フォスティーヌの作者だね まだ一巻しか読んでないけど)の
描く続編「歌え!ポピーちゃん」というのもあったそうだ。


う~む、どちらも読んでみたい。
歌え!のほうはコミックスにはなっていないそうだが。






何年か前、自転車で駅に向かっていたら古いおもちゃの専門店を見付けた。
普段通る道からは一本ずれているため滅多に通らないので
それまでそのお店がそこにあることを知らなかった。


人形があるかちょっと期待して入ってみた。
そこにはアグネス・チャンと天地真理のポピーちゃんが。
箱入りだったがひどく退色していてかなり状態が悪い。


これじゃあなー…と思いながらも念のため値段を聞いてみたら
なんと六千円。


色が褪せているというよりなくなっていると言ったほうがいいような
状態の人形(箱も)に六千円出す人はいないと思う、というのが
率直な感想だったがお店を出てから、珍しいからやっぱり買ってみようかな、
いやいやあの状態では(以下ループ)なんて考えていて、
取りあえず保留ということにした。


いやホントは自分でも絶対買わないことはわかっていたが
あの肌が薄緑になるまで退色してるポピーちゃんが憐れだったんだと思う。


人形は日のあたらない場所に保管してほしいものだ。






その後初めてアイドールというイベントにディーラー参加をした。


目の前の古い人形を売っているディーラーさんのところへ行ってみたら
マーババービーフレンドと岡田奈々のポピーちゃんがあった。


マーババービーたちには八~十万円(!)の値が付いていたが
ポピーちゃんには値段が付いていない。


「すみません、これいくらですか?」
高そうだなーと思いつつ聞いてみたら




「五百円。」




人気がないからだそうだ。
即決したのは言うまでもない。
この前のアレ、買わなくてよかった、と思ったことも言うまでもない。
いや買うわけないけど。


ツヤツヤした髪の質感がとてもいい。
ボディが案外肉感的というか生々しい。
バンダイのセーラームーンのようだ。発育いいのね。


パパは喫茶店を経営。
趣味はハンチ集め。
お兄さんがいる。






どうでもいいことだが芸能界に疎い私はそれまで岡田奈々を知らなかった。







2013年5月22日水曜日

大徳寺貴更のこと



ドールにハマって2~3年経った頃、妹の友達が遊びに来た。
彼女は私の人形好きを知って、自分の持っている大徳寺貴更を
譲ってくれることになっていた。


妹は友達同士で人形を交換しあったことがあって
その友人のうちの一人が彼女だった。


私は当時まだまだ持っている人形の数が少なかった。
マーババービー、マーバケン、タカラバービー、ジェニー、
エリー×2、レイフ×2、トム×2、リエ、ティモテ、マイク、
一番新しいのがマリーン、たしかこれくらい。


別に増やしたいわけではなかったが欲しい人形はいくらでもあった。
あの貴更がいただけるならそりゃもう喜んでいただく。


TOTOCOあたりに行けばまだエリーズクラブのキサラは手に入ったが
小柄で茶色い髪の貴更がいいなぁと思っていたのだ。






ところが彼女はうちに来て私のマリーンを見たとたん
いきなり人形にハマってしまった。


後で、申し訳ないが貴更は譲れなくなった、と連絡があった。
仕方ないというか、まぁ残念ではあるがうちの人形、
特に一番好きなマリーンちゃんを見てハマってくれたので正直かなり嬉しかった。


その後彼女と一緒にTOTOCOへマリーンを買いに行った。





それから6~7年経ってよく行くリサイクルショップで貴更を見付けた。
350円也。


多少古びた感じはあるがそう傷んではいない。
1987年当時もし自分で買っていたとしたら
おそらくもっと劣化していたに違いない。


いつも成果なしのことが多いのに、この日はやたら入れ食いで
100~550円の価格帯のこのお店で3000円分くらいの人形を買って帰った。


だが貴更のインパクトが強くて他に買ったのがなんだったか
いまいち記憶に残っていない。追々思い出すかもしれないが。






貴更は茶髪がいい、と言いつつ妹の友達が遊びに来た件の翌年あたり
仕事帰りにたまたま寄ったおもちゃ屋さんで発売されたばかりの
白肌金髪のキサラを買ってしまった。


やっぱり金髪もいい。






2013年5月21日火曜日

バンダイバービーにもの思う



以前住んでたところの最寄り駅近くにおもちゃ屋さんがある。
ドールにハマるまでそこにおもちゃ屋さんがあることすら
知らなかった気がする。


そこに初めて行った時、売れ残っているバービーのプレイマットを見付けた。
それに付いていた写真のバービーはまったく知らない顔だった。


メーカーはバンダイ。
バンダイの人形といったら当時はマーババービーくらいしか知らなかった。
セーラームーンの人形は年代からするとあったようだが記憶にない。


バンダイからこんな綺麗な顔のバービーが出ていたなんて、と
ちょっと驚いた。






その後、妹の知り合いからもういらなくなった人形をたくさんいただいた。
その中にバンダイバービーがあった。


タカラ系の人形とは明らかに違うのだが美人。


マテルのバービーの雰囲気を上手に残しつつ日本人好みに仕上がっていて
バンダイドールの中でもかなりの秀作だと思う。


アンナの友達クリス、バイオピンク&イエローのバイオガール、
フェアリーシーロンも秀作だと思う。
シーロン持ってないけどホント可愛い。


最近だとドキドキプリキュアのキュアハートも
ちょっと欲しいと思ってしまった。
キュアソードはまだ見ていない。
出来のいいバンダイドールって意外とあるもんだなぁ。


話が逸れた。






いただいたバービーは髪が傷んでいたので
ぬるめのお湯パーマでくちゃくちゃしたソバージュっぽい頭にし
傷みが目立たないようにしたが、綺麗なのも欲しくなり
近所の古いおもちゃが残っているおもちゃ屋さんへ行って
メロディドリームバービーを買った。


カネカロンの髪がサラサラだ。






そことは別のおもちゃ屋さんにはトーキングバービーがあった。
同じ顔だったのと退色が酷かったのとでスルーした。


それでもちょっと気になっていたが次に行った時には
もうそのお店はなくなってしまっていた。


リカちゃんキャッスルのイベント会場に向かう途中の道にあったので
もし今でもあるならちょこちょこ寄れたろうにと思うと残念。
まぁあったとしても今ジェニー系が置いてあるかどうかは疑問だが。






※バービーのプレイマット:
正しい商品名は不明。
広げると部屋割りされた床になる。
ここはリビングであるとかバスルームであるとか。
箱物とはまた趣向の違うハウス物で、おもしろい発想だと感心した。


追記
バンダイバービー「ひろげてごらん  音でるおうちだよ」という商品があったことを突き止めた。
もしかしたらそれかもしれない。
パッケージが記憶と違ってはいるのだが。

それとフェアリーシーロン、手に入れた。



2013年5月20日月曜日

初期マーババービーのこと



古いおもちゃがたくさん残っている近所のおもちゃ屋さんにマーババービー・ペットオンペットがあった。


だが私の持っているバービーとなんとなく顔が違う。


どうしてだろうと思いつつ他のバービーも見ると私のと同じ顔もあって、どうやら顔だけでいえば二種類あるようだ。


ジェニーだってエクセリーナもあればエイティーンもあるんだし違うフェイスデザインがあっても不思議じゃないか、と納得した。


まぁ同じマーババービーだし、とあまり気にすることなく買わずに店を出た。






その後ビリー・ボーイ著「We Love Barbie」という本の和製バービーの項目でジェニー(或いはタカラバービー)の写真にマーババービーとクレジットされているのを発見した。


あれ?これ間違ってないか?と思いよく見るとジェニーよりも細面で目が縦長で微妙に違っている。


あ、これが初期マーババービーなんだ、あのペットオンペットもこれだったんだ!


多少の知識はあったが気付かなかったという…。






1986年バンダイはマテルとの合弁会社マーバ・コーポレーションを設立、バービーの販売をすると発表したのだが発売直前にタカラから製造の差し止めを求められた。


マーババービーはジェニーにそっくりではないか、と。





見慣れた今となっては簡単に識別できるし現物を見た時もさほどジェニー似てるとは思わなかった。
しかし「We Love Barbie」の写真は本当によく似ていると思った。


しまった、初期タイプは発売期間が短いのか、ならば買っておけばよかったかも。


次にまたお店に行った時にはマーババービーは根こそぎなくなっていた。
「開運!なんでも鑑定団」の影響もあったのか、その頃あたりからそれまで残っていた古い人形がどんどん姿を消していった。


知識が追い付いてくる頃にはもう人形は逃げてしまっている、というのが私のパターンらしい。






だがその時には逃しても後になってから手に入ったというものも多い。
その少し後、妹を経由してきた貰いものの人形たちの中に新旧マーババービがいた。


また何年か(十年くらいか?)経って骨董市に出掛けたら箱に初期マーババービーのヘッドだけが並べられているのを見付けた。


どう見ても新品なのだがなぜヘッドだけ?


たしか一個200円。


舞い上がるあまり全部買占めようかと思ったが、なんとか冷静になった結果取りあえずというかなんというか二つ買った。





ジェニーのボディに付けてあるが(ノーマルとSAJ)、マーババービーはもともと首が可動するボディなので首無可動のジェニーボディだとヘッドが上を向いてしまうがまぁよしとしよう。


なにかとジェニーと比べられてきた可哀想な歴史を背負ってきたわけだけども、こうして見ると可愛いではないか。






ヘッドだけでは産地がわからないと思っていたが、ふと思いついて首穴の内側にひっつき虫を押し付けてみた。


japanの刻印があった。
まぁ顔色をみれば大体わかるんだが。








2013年5月19日日曜日

あわてんぼクルリちゃんのこと



近所に人形者にとっては宝の山のようなおもちゃ屋さんがあった。


ただし見付けた時はさほど欲しくなかったものが後になって欲しくなり、また行ってみた時には無くなっていたことも多かったのだが。





クルリちゃんもその一人だった。


1974年に発売されたクルリちゃんは表情が変わるギミック付き。
健康的で愛嬌のあるある顔だがなんというか美少女というタイプではない。
小さい目に上向いた鼻、ギミックのせいもあるがでかい顔…。


リカちゃんたちの中にあってどう見ても脇役的な。


当時は可愛いタイプしか興味がなかった。
だからクルリちゃんも見ただけでスルー。


値引きされ1600円と安値だったため転売ということも考えてみたものの、古いおもちゃ専門店で聞いてみたら買い値は1500円ということなのでやめておいた。


まぁ転売といっても当時は古物商に買い取ってもらう以外の販路などなかったので「持っていればそのうち高値になるかも!?」と妄想するだけで終わるだけだった。


「これ他行けば一万円だよ!」と言われて思わず千円で買ってしまった超合金もすでに三十年以上持ち腐れたままだ。


やがてクルリちゃんはお店から姿を消してしまった。



ヘッドを180度回して


左手を上げると…


おすまし顔に変身!



ああいう脇役っぽい子がいてもいい、
というか、いろんな顔の子がいたほうがおもしろい、
と思うようになったのはそれからだいぶ経ってからだった。
それに70年代のドールに対する興味も出てきた。


クルリちゃん、欲しいな。


気が付くとその数年で一番欲しい人形になっていた。
オークションに出てるかな?と見てみたらあった。


大体五千円くらい。
1600円という頭があるからものすごく高く感じる。
たまに安く出るがあっという間に入札が入って五千円を超えてしまう。


それでもマメにオクを覗いていたら
1000~1500円くらいの安値で出ることが増えてきた。


競り合いが嫌いなので迷っていると他の誰かが入札、
そのまま落札ということが2~3回あった。


これなら私でも落札できたんじゃ、と思ったので入札してみた。
ところが僅差で競り負けること二回。





そのクルリちゃんは2000円で出品されていた。


取りあえずウォッチリストに入れて様子見したものの気になることがあった。
それはブックレットの有無。


私はドール関連の紙物が大好きなのだ。
けっこうそれなりの数集めている。


せっかくの70年代の箱入り新品、ブックレットは入っていてほしい。
出品者に質問なんてしたことなかったが思い切って聞いてみた。
すると入っていると言うではないか。


入札決定!


ところがすっかり忘れてしまい、思い出したのは終了日の翌日だった。
あれ?ウォッチリストに入れてたのになぁ。


そのクルリちゃんは再出品されていた。
それとは別に1500円で出品されているのもある。


私は1500円に2000円をぶっ込んでおいた。
これで落札決定だな。
(そっちのブックレットは気にならなかったのかとか細かいことは忘れた)


しかしライバルがいた。
クルリちゃんは2200円になっていた。


当然のことながらそちらには見切りを付け
最初の2000円に入札、落札した。


未開封ではなかったことがライバルがいなかった原因だろうか?
開封済みだが遊んだことはないそうでまったくの新品同様だった。


私が手を出さなきゃ先のクルリちゃんは1500円で落札できたろうに…
あの時のライバルさん、ごめんなさい。






今は手作りの白いお嬢様ドレスを着せている。
あんまり似合ってないかもしれないがいいじゃないか。





今回撮影のために脱がせて驚いた。
こんな凝った下着を作ったんだっけか。
うちではわりと優遇されてるほうかもしれない。






2013年5月18日土曜日

オキサキサマ


小さい頃大好きだった人形がある。
お向かいの子が忘れていったらしい小さな赤ちゃんの人形だ。


従姉が持っている初代か二代目のミキマキがごつく見えるほど小さく
いたずらっぽい目とうにゅっとした口、貝殻みたいな手のひらが愛らしい。






名前は「オキサキサマ」。
私はお妃様というのはお姫様よりも女王様よりも王様よりも偉いのだと思い込んでいたのだ。
バカなガキだった。


ティッシュを巻き付けてドレスにしたりアパートにあった共同の水場の前に
洗面器を持ってきて水浴びごっこをしたりした。


同じアパートに住む従姉は遊んでいる私の前に仁王立ちし
「返さないといけないんだからね!」とキツく言い放った。
私は俯いて小さく「うん…」と返事したもののけっきょくそのまま。
お向かいの子からは何も言われなかったので、オキサキサマは
本当にその子のものだったのかわからないままになってしまった。


本当に可愛くて可愛くてしかたなかったのにオキサキサマはいつの間にかいなくなってしまった。
きっと母に捨てられてしまったのだろう。






大人になったある日、私はオキサキサマと再会した。


うちに遊びに来た友達と一緒に近所のおもちゃ屋さんへ行った時だった。
プリティちいちゃんニューホームセットデラックスと書かれた箱を見付けた。
懐かしいチーちゃんと家具のセットだ。


箱の側面を見るとなんとセット内容にあのオキサキサマも含まれているではないか!
そう、赤ちゃんの人形はチーちゃんの妹だったのだ。
これは買うしかない。


ところがこんな時に限って財布を持っていない。
散歩のつもりだったし、まさかこんな掘り出し物があるとは思わなかったのだ。


よく行くお店なので今までそれの存在に気付かなかったとは考えにくい。
そのお店は時々倉庫から商品を出して補充していたらしいので
おそらくそれもそうだったのだろう。





まぁホントに近所なのですぐにまた行って、二つあった箱を両方買って帰った。


当時はまだオークションは一般的ではなかったが
いつか手放す機会があるかもしれないという思いもあったし
いわゆる遊び用保存用という頭もあった。
けっきょく勿体なくて片方はそのまま保存している。




一つはすぐに箱から出して愛でている。
相変わらず可愛らしい。





難点は名前がないことと小さすぎて服作りが大変なため着たきりであること。
そうか、名前がないんだ。


商品名は「ちいちゃんの赤ちゃん」だからして。


名前、付けたほうがいいんだろうか?
オキサキサマじゃなんだし、う~ん…。







2013年5月17日金曜日

トムを買いに



ジェニーにはまって間もなくの頃は
よく休日に家族そろって車でスーパーに買い物に行っていた。


そのスーパーの二階にはおもちゃコーナーがあり、
少しだが人形が置いてあるので
そのお出かけのちょっとした楽しみだった。


リカちゃんが少し、ジェニーはなかった気がする
(あっても1~2体だろう)が、なぜかボーイフレンドのトムがあった。






最初に手に取った時のことは憶えていないが
あまり欲しいとは思わなかった気がする。


しかしジェニー誌を見ているうちに欲しくなったのだったと思う、
なくなると嫌なので次の買い物を待たずに買うことにした。







まだ暑さの残る秋口、湿気の多い日だった。
どんよりした灰色の空のもと、私はまだ赤子だった姪を連れ
散歩がてらスーパーへ向かった。


そしてトムを買い帰路についたまではよかった。


すぐ近くだと思ったスーパーが案外遠い。
いつもは車で行くところだから当然といえば当然だが
近いと錯覚していたらしい。


帰り道が悲惨だった。
眠った姪を背負った前屈みの態勢で長距離を歩くのはかなりしんどい。
手にはトムの入ったスーパーバッグ。


しまったー、せめておんぶ紐持って出りゃよかった。
汗だくになり必死で帰ったのだった。


それでも手に入ったのが嬉しくて嬉々として服作りをした。
(それからずっと着たきり)






その頃はまだ人形の数が少なかったので
全員をカップリングさせようなんて考えていた。


ジェニー(タカラバービー)にはマイク、エリーにはレイフ、
トムはリエにあてがうつもりだった。


そのうち人形はどんどん増殖し、カップリングなんかどうでもよくなった。


そりゃそうだ、男の子はジェフ、レイフ、トム、マイク、チャールズのみ(当時)。
それもそこらに売っているわけではない。
マイクやチャールズなんてどこを探してもなかった。


そして女の子ばかりがどんどん増えていくのであった。






「花の乱」の伊吹三郎みたいなワイルド時代劇系カスタムをしようともう一人買った。
もちろん今はもうそんなことやる気はない。






やっぱりトムはオトコマエ。








2013年5月16日木曜日

リカちゃんがしゃべった日


そのリカちゃんは黒い別珍のドレスで、頭にも黒いリボンを付けていた。
アッシュブロンドでやや長めのボブがなんとも上品で、
売り場で見るたびについ手に取ってしまっていた。





だがそれに限らずリカちゃんを買うつもりはなかった。


私はジェニー派。
服の互換性がない人形を持つのがなんとなくいやだった。


リカちゃんは好みじゃない、と小さい頃思っていたせいもある。
それがたぶん一番大きい理由だ。
あの頃とは顔が違うと頭ではわかっている。


そうだもう一つあった。
もし買うなら絶対コレ、と決めていたリカちゃんがあったのだ。
だがグズグズしている間に同じものを妹が買ってしまい、
同じものを持つのもなんだしなーと買うのをやめてしまったことがあった。


それは当時よく行っていたスーパーに置いてあったプティットドールリカちゃん。
少し前に出たものなので置いている店舗は既にほとんどなく、
気になりながらも引っ越してしまいそのまま。
たまたま別のお店で妹が見つけ買ってきた。





可愛いんだけどね~。」
そう言って元の場所に戻すのがいつものことになっていた。


またその売り場を通ってまたそのリカちゃんを手に取った時妹が言った。
「買ってあげようか?」
いつも気になって仕方なかいくせにいらないと言う私を見兼ねたらしい。
「その代わり…」


クリスマスが近かった。







「リカちゃんイラネ」だったはずが手に入ってしまうとふっきれたというか、
その後リカちゃんサイズも増殖していくこととなる。


だがうっかり承諾した「妹が出した交換条件」を満たすのはかなり大変だった。
それはジェニーサイズのクリスマス用ドレス10着。
妹もすでにけっこうな数のジェニー&フレンドを所有していたのだ。


当時の技術はものすごく未熟だったとはいえ今考えると割に合わなかったかもしれない。
自分で買ったほうが安いやいい、リカちゃんに目覚めるきっかけになったのだから。





箱から出したリカちゃんの髪のゴムで留めてあった跡が気になった。
なのでジェニー誌にあった跡を綺麗に直す方法をやってみることにした。


熱いお湯をかけて梳かすだけでいいそうな。
私は湯沸かし器を一番高温になるようにしてお湯を出し、
水平に持ったリカちゃんの後ろの髪にお湯をかけた。


するっとクセが取れ綺麗なストレートになるはずだった。






リカちゃんの髪はお湯がかかって後ろになびいた形のまま
ピキーッと固まってしまった。


あれ?
なんか予想と違うような、もう一度やってみよう。


ますますひどく固まった。


詳しい人ならわかるだろう。
このリカちゃんはプティットアンティーク、髪がトヨカロンだったのだ。


だが当時の私は髪の材質が違うことや、その髪が熱に弱く
熱湯に漬けたりしたら硬化してしまうことなどまったく知らなかった。







リカちゃんがぁぁーー!!







魂が抜けてその場にへたり込んだ私に、リカちゃんが天使のような声で言った。


「髪がどうなろうとリカはリカよ。
私は気にしないわ。あなたも気にしないで。」


言ったような気がしたんだよいいんだよ。






茫然としていると電話が鳴った。妹からだった。
思わず「死にたい…」と呟くと妹は「リカちゃんに何があった!」
…見抜かれとる。


リカちゃんキャッスルに行った際も連れていき再植毛できないものか相談したが、
当時はまだリトファはなく(今もないけど)断られた。


髪の傷みが目立たないようボンネットを作って被せていたが
ついに自力での植毛を決意。


その頃は今のように植毛用ヘアなんて売ってなかったが
手芸屋さんのカントリードールコーナーでいい色のサランっぽい髪を見付けたのだ。


クルクルしているのでどうなるか心配だったが
植えてお湯パーマをかけたら見事に可愛くなった。






トヨカロンのようにサラサラではないので敢えて全然違う髪型にした。
当初はクルクルのままだったが、ボリュウムありすぎて扱いづらかったので
またお湯パーマをかけて縦ロール。





今はもう一人プティットアンティークリカちゃんがいる。
友達がリサイクルショップで見つけたものでお願いして譲ってもらった。






その時も彼女の希望でドレスと交換だった。
大きい人形用で、やっぱりちょっと大変だったが、
気に入ってもらえたようでよかった。






2013年5月15日水曜日

チェルシー=エリーナの話



ジェニー誌93年秋号を眺めていたら
眠そうな顔をしたあまり可愛くない人形がいた。


え、なんだこれ。
こんな顔のジェニーフレンドがいるの?珍しいタイプだな…。


名前を見たらチェルシーとある。







ある日トイザらスに行き人形コーナーを見ていたら
大きな箱に入ったエリーナという人形があった。


服が二着くらい一緒に入っていて(たしか)1999円という
お得感たっぷりなセットだった。


エリーナ?チェルシーそっくりなんだけど…。


とにかく安いので買おうかと思ったが、
手を見たらジェニーと違い作りが粗い気がしたのでやめておいた。
もしかしたらパチドールかも?と思ったのだ。





ご存知のかたも多いと思うが、
ジェニーフレンドのチェルシーは元はオオイケのエリーナだ。
当時はまったく知らなかった。


まったく同じ、というわけではなく顔の材質が違うのか
エリーナの方が濃い肌色で微妙に別物というか区別はつくと思う。


髪型も違うようだし。
チェルシーにはない前髪パッツンストレートヘアがエリーナにはある。


手の作りが粗いと感じたのは、ジェニーの中空の腕と
材質が違うためであって、粗いわけではなかった。


いろいろ知ってから、やっぱり買っておけばよかったと
後悔したことは言うまでもない。





チェルシーは発売から二年が経っていたがまだデパートで売れ残っていた。


実物を見ても本当に可愛くない。
そうか、可愛くないから残ってるんだ。


次に行った時もまだあった。やっぱり可愛くない。


三度目に行った時も手に取ってしまった。
ほら、可愛くな…あれ?





可愛い。





そんなバカな、と元の場所に戻して買わずに帰った。
そしてやっぱり後悔することになった。


そう、四回目はなかったのだ。


それからしばらく経って別のおもちゃ屋さんで発見し
今度こそ連れて帰った。





初めてリカちゃんキャッスルへ遊びに行ったのは1997年2月。
当時は過去の人形や他社の人形がたくさん飾ってあるコーナーがあった。


その中にまたチェルシーそっくりな人形があった。
名前はルビー。


エリーナのこともまだ知らない時だったので
頭の中は「???」だった。


どうやらチェルシー以外にもオオイケが他社と提携して販売した
エリーナがあったということらしい。





チェルシーはちょっとぼんやりした表情だが、
それがいいというかタカラドールとは別の魅力がある人形だと思う。


せっかく再販の話があったのに立ち消えになってしまい非常に残念だ。






2013年5月14日火曜日

newエリーのこと



マーババービーとマーバケンは持っていたもののまだ人形者ではなかった頃、実家に帰った折、電車で何駅か先のデパートに出掛けいろいろ物色してそろそろ帰ろうかという時だった。



駅への通路がある二階の出入り口に向かったら、そこはエリー祭りだった。



それからさかのぼること約五年。
おもちゃ売り場ではエリー・貴更・レイフ・エイティーンジェニーが、大人の趣味としてのファッションドールとか、子供向けのやぼったい着せ替え人形がここまでお洒落になったとか、そんな感じ(大雑把)の新しいファッションドール時代の到来を告げていた。



いいなーと思って見ていたもののいつでも買えると思い込み、気付いたらそれらは売り場から姿を消していた。



リカちゃんのようにずっと売っているのだと思っていた。
あまり買い集めるという頭がなかったせいかもしれない。
バービーがいるからもういいよ、といったような。



そうか、いつまでもあるものではなかったのか、なら買っておけばよかった…。



それが今目の前にたくさん並んでいるではないか。
貴更、レイフ、18ジェニーはないのかと見渡してみたがエリーだけだった。



再販記念に大々的に売り出しをやっていたらしい。
お洒落さを演出して大人が買いやすい雰囲気だったように記憶している。
もしかしたら大人がターゲットだったのかもしれない。



もう買い逃すまい、と私はエリーを選び始めた。



値段は着るもので変わってくるんだよね、
服なんて後で替えられるんだから安いのでいいや。
前髪下ろしてるのよりワンレンのほうがエリーらしくていい。



選ぶ基準はこんなもんだったと思う。



そして選んだのはショッキングピンクの簡素なボディコンワンピに青のストールで軽くカールが入ったワンレンのエリー。



ワンレンでもストレートやソバージュもあったがあまり気にしていなかった。



ジェニーやマーババービーとは違う大人っぽいボディラインをうっとり眺めているうちに、「そうだ、服を作ろう」と思い立った。



一応裁縫道具はある。
一人暮らしを始める時に母が持たせてくれたやつだ。



布はワゴンセールで買ったオフホワイトのふわふわした風合いのニット地。



当時駅の東西通路にあったデパートの看板のモデルが着ているマントみたいなやつが作りたくて買った布だ。



もちろんそんなスキルはないからその布は放置していた。
これでエリーのドレスを作ろう。



当然型紙なんて作れないから見ごろは適当に裁断したのをホルターネックみたいに巻き付けて前で交差させる。
胸が隠れりゃいいだろ。



スカートもこれまた適当に大きめに切ってぐしぐし縫い縮めて見ごろにまつり付けた。



着脱はできない。



それを夜中の2時3時までかかってやった。



翌日、友人に昨夜遅くまで人形の服を作っていたとちょっと気恥ずかしく思いながら打ち明けた。
これがやってみたらすごく楽しくて途中でやめられなくてね、と。



人形、それもジェニーの友達ということで、一つ年下の彼女に子供っぽいと思われてしまうのではないかと危惧したが(今なら絶対そんな心配しない)彼女は「そういう趣味っていいね!」と感心したように明るく言ってくれた。


あ、これって趣味なのか、そうか。



そう、服作りは自分でも意外なほど楽しかった。
だがまさかその翌年からドール趣味にどっぷり浸かってしまうことになるとはその時は想像だにしなかった。






かなり植毛がスカスカだったので別のエリーを全植毛した際の抜いた髪をこのエリーに植えた。



加減を知らなかったので植えすぎて多毛症になり可愛くなくなってしまった。



植毛は知っていたがお湯パーマは知らなかったのでそのまま長らく放置。
その後お湯パーマを知ったが面倒で更に長らく放置。



お湯ッパしたら驚くほど綺麗になった。
すまぬ、エリー。