2013年5月7日火曜日

人形にまつわる怪異・その一


フリマで手に入れたレディリカ、彼女よりも前にうちに来たレディリカがいた。


それは仕事でうちの田舎へ行った時のこと。
仕事を終えたので叔母の家に遊びに行った。
祖母のお見舞いに一緒に行く約束をしていたのだ。


私が着くと叔母は「もらったけど好みじゃないから」と
箱を開けて見せてくれた。


叔母も人形好きなのだ。
箱の中には希少な人形がいくつも入っていた。
その中の一人がレディリカだった。


元の持ち主は従兄の奥さん(美人)。
叔母から見れば甥のお嫁さんだ。
ほとんど遊ばなかったそうで人形たちは退色もなく綺麗な状態だった。
レディリカを除いて。


元の持ち主曰く、レディリカだけは
近所のお姉さんから貰ったものなのだそうだ。


他はみなデフォ服を着ているのにそれだけは
手作りのオレンジチェックのワンピースを着ていて少し退色していた。


その後祖母のお見舞いへ。


年内いっぱい(二ヶ月)はもつだろうと言われていた祖母が亡くなったのは
その三日後のことだった。





私は髪が伸びるだとか夜毎に歩き回るだとかいった
人形にまつわる怪談を怖いと思ったことはほとんどない。


小さい頃人形は夜になると勝手に歩くものだと思っていたからだ。

幼少の頃のある日、同じアパートに住む従姉が大きめの人形(マーガレットちゃんだろうか、いわゆる歩行人形)をつかんで言った。

従「ゆうべここに置いた人形が朝になったらここにいたんだよ!」

私「じゃやっぱり人形は夜歩くんだね!」

別に寝ている間に歩いたところで困ることもない。
だが実害があるとなると怖くなくてもやはり困る。


私はレディリカの表情が気になっていた。
怒っているのだ。不満を訴えているのかもしれない。
とにかく凄みのある顔なのだ。


私は「古いものだけに年月を経たものだけが持つ
迫力みたいなものがあるのかもなぁ」と思い込もうとした。


ところが着せ替えるためにレディリカを透明プラケースから取り出した日
うちの可愛いあかすけ(猫)が喧嘩でやられたらしく目を真っ赤にして帰ってきた。
熱もあるようだ。


翌日もレディリカをケースから出した。
するとやはりあかすけがしっぽの付け根にひどい怪我をして帰ってきた。


いつもは一度の通院・治療で快方に向かうのに、この時は治りが遅く心配した。





もしやレディリカを出した日に限ってよくないことが起きる?





これだけコトがあれば疑っても仕方ない。
私はレディリカを箱から出すのをやめた。






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