2013年5月8日水曜日

人形にまつわる怪異・その二


半年くらい経過し、私は初めて
ドールイベントにディーラー参加することになった。


これはいい機会かもしれない。
私はレディリカも売ってしまうことにした。


もちろんそんな呪いの人形(?)を
売っていいのかという気持ちはあった。


だがケース越しに明日売ることを告げた時の彼女の顔、
あの険のある表情はどこへやら、まったく穏やかな顔だった。


私は安心した。
こんな穏やかに微笑む人形が悪さをするとは思えないからだ。


反面売ることに迷いが生じた。


全然怖い顔じゃないじゃないか。
もう何もしないなら売る必要ないんじゃないか?


大体レディリカなんて希少な人形、
手放したら二度と手に入らないかもしれない。


いやもしかしたら私のところが嫌だったのかもしれない。
私にはもうすでに一番大事な人形がいる。
ここにいても一番にはなれない、そんな気持ちなのだろうか?
それとも他の理由で?
だからここを離れられて喜んでいる?


そんな風に思えたのでけっきょくレディリカは手放した。


まったくウェットな考えだと思う。
不運な出来事は偶然で人形とは何の関係もないかもしれないじゃないか。


私は「いる」という表現を使ってはいるが基本人形を物扱いしている。
大事にしているつもりだがわりと荒っぽく扱っているのだ。
頭だってすぐ引っこ抜くし。


だがヒトガタには魂が宿るものだと思っているし
日本には付喪神という考え方があるではないか。


知り合いに非常に霊感の鋭い人がいて、
彼が言うにはその素材に関係なく人形には魂が宿るものなのだそうだ。


人間のような魂ではなく持ち主の想いといったものが籠っていくらしい。
だから人形にはいい感情を与えてやるといいのだろうと思う。


霊能力のあるその人にとって人形は鬼門であるらしく
このレディリカを見てほしいとお願いしたところ
「人形だけは勘弁してくれ」と断られた。
よっぽど怖いことがあったらしい。


ただ従兄の奥さんの知り合いのお姉さんの前にも他に持ち主がいたはず、
とのことだった。




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