2013年5月9日木曜日

人形にまつわる怪異・その三


ある日ふと実家に置いてきた人形が気になった。
セキグチの男の子の抱き人形だ。


高校三年の時だったかな。
今は無き雑貨屋さんにあったピエロの人形が欲しかったが
ごちゃごちゃやっているうちに売り切れてしまった。
その後紆余曲折あってそれの代わりに来た人形だ。


私が使っていた部屋に人形用の籐椅子に座らせてあるはず。
狭い行灯部屋で(一応フローリングだが)、
私がいなくなってからは納戸代わりにされていた。


実家に帰った際その人形を連れてくることにした。
が、部屋に入って棚の上で籐椅子に座った人形を手にして驚いた。




怒ってる…。




明らかに顔が変わっている。
退色し埃にまみれ暗い部屋に座らせられていた不満が
表情にありありと表れていた。


可哀想に、悪いことをしてしまった。
私は人形を連れ帰るとさっそくカスタム(クリーニングか?)した。


布で出来ているボディをぬらさないように注意しつつ髪と顔を洗い
アクリル絵の具でチークを入れ褪せた色を補い、
Mr.カラーで眉とリップをリペイント。


あとは埃をぬぐった籐椅子に座らせ人のいる部屋に常に置いた。


しばらく経って見ると人形の表情はずいぶん柔らかくなっていた。
もう不満は無いようだった。


よく人形の顔が変わって見える話があるが、こんなにも変わるんだなと
実体験で知ることができた。


穏やかな顔になった人形を見ていて
長らくうちにいるのに名前がないことに気付いた。


私は名付けがあまり得意でない。


何かないかとパラパラ本をめくっていて出てきた名前がウィリアムだった。
これでいいじゃん。
というわけでウィリアムになった。


最近同じサイズの女の子が遊びに来ているのできっと楽しいに違いない。


ちなみにまったく怖くない。
すごい表情だった時も。





女の子はオオイケのシャンティ。
このシリーズはよく心霊番組や恐怖本で写真を使われていたが
この可愛い顔のいったいどこが怖いというのか。





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