引っ越した先におもちゃ屋さんが多かったのは別にそれ目当てだったわけではなく
単に条件が合う物件がそこしかないからだった。
どのお店も品揃えがいいわけではなかったのでけっきょく行くことは少なく
よく通ったのは一駅先の今は無きトイズオフだったりする。
その街を去る時、引っ越してからだと到底行けない(というか遠くなるから行きたくない)
おもちゃ屋さんに行っておくことにした。
私はまたタウンページをめくり行ったことのないおもちゃ屋さんを探した。
電車で某駅まで行きそこからバスに乗ると何軒かのお店がある町を見付けたので行ってみた。
…ハズレだった。
文房具店だったり赤ちゃん用品のお店だったりで。
一番期待できそうなお店がこの辺のはずなのに見付からない。
立ち話をしている人に聞いてみると
「おもちゃ屋さん?…ああ、そこにあったね!20年くらい前に。」
載せっぱなしにするなよ、タウンページに。
今度はもう少し近場に行くことにした。
一軒しかないけど自転車で行ける。たぶん行ける。
無理なら引き返す(要するに今まで行ったことがない微妙に遠いところ)。
途中にもう一軒元はハロマだったと思われるおもちゃ屋さんもあったが
やっぱり何もなかった。
線路沿いの直線コースだったので距離のわりには案外ラクに着いた。
だが人形がない。まったくない。
「何かお探しですか?」
お店のおじさんに聞かれたので「人形を」と答えた。
「リカちゃんとかジェニーとかなんですけど。」
「ああ、人形はあんまりなくてね~…」
と言いつつおじさんが男の子向けのおもちゃの箱をずらして
奥にあったものを取り出してくれた。
「これしかなくて…ごめんなさいね~。」
プレゼントリカちゃんとリカちゃん系のなにか(パパだったかな?忘れた)と…
ヘアウィッグアンナ!?
うわぁー!…と心の中で感激しつつそれを差し出した。
おじさんは少なくてごめんなさいごめんなさいと
しきりに謝りながら対応してくれた。
少ないだなんて、これがあれば充分ですよ!
と声には出せなかったが思っていた。
アンナが見付かったお陰で気持ちに区切りが付き
引っ越し前のおもちゃ屋さん巡りを終わらせることができたのだった。
ウィッグを被るためか通常のアンナよりも小顔で、
また通常のアンナほど下がり眉ではないため
表情がやや大人びていて非常に可愛らしい。
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