2016年8月12日金曜日

21年目のエクセリーナ・5 ―そこに至る遍歴のあした―




今でこそリカちゃんキャッスルの通販やイベント、
更にオーダーまであり(現在は休止)、好きなフレンドがなんぼでも買えるが
そういったものがなかったあの当時、ジェニ者である私の飢餓感を
埋めてくれたのはなんといってもTOTOCOだった。



発売中のものはもちろん揃っていたし、
古めのものやオリジナルドールが充実していて
まさしくジェニ者の聖地。



10周年ドールを長期販売してくれていたこともありがたかった。
いつでも買えるというのはやはりいい。



後でやっぱり欲しい、となったり
うちでドールを見てハマった人が同じものが欲しいと言うので買いに行ったり
これ可愛いからもう一つ欲しいと叔母に頼まれて買い足しに行ったり
(叔母はアベルが大好きなのだ)。






この角を曲がればTOTOCO、というところまで来ると
走り出したい衝動に駆られたものだ。
大人なので我慢したが。



なにしろあの頃エクセリーナが買えたのはTOTOCOと
リカちゃんキャッスルだけ。



関東圏から福島のキャッスルへはそうホイホイ行けるものではないので
TOTOCOの存在は貴重だった。



鈴木蘭々やまちかどドレミのロビンみたい、と
ショートのエクセもお気に入りになった。



グレーまつ毛ということで最初は興味がなかった
ハッピーカラーピンクのおだんごも、
ドールブックで着物を着ているのを見たとたん買いに走った。






だがやがてエクセリーナはタカラ(タカラトミー)の独占ブランドとなり
TOTOCOからは発売されなくなってしまった。



本来ならエクセとして発売されるはずだった仕様のTOTOCOドールは
下まつ毛をなくしマリーンとして発売された。



そして肝心のタカラトミーから出た30周年エクセは
ファンが納得するようなものではなかった。



なにしろ中国製で三万円だ。



大人リカちゃんが一万円以上というのは別にいいと思う。
あれはリカちゃんファンに向けたものというより
昔リカちゃんで遊んでいた人がふと目を向け、
え?今のリカちゃんってこんなに可愛くてお洒落なの!?
と驚いて買うのにちょうどいいものなのだろう。



普段リカちゃんキャッスルでリカちゃんを買っているファンからすると
服はともかく人形本体に対する不満があるはずだろうから。



見本は可愛かったのに届いてみたらなんか違う、
やっぱり見本とは違うものなんだね…とがっかりした様子が書かれていた
(おそらくキャッスルリカちゃんを知らない人の)ブログを見つけたことはあるが、
大方が見本と製品版のクオリティの差に気付かない人なんじゃないかと思う。



その大人リカちゃんとエクセを買う層は違う。
そもそも知名度がまるで違うので、例えば大人リカちゃんと同じように
広告を打ったとしても、「高いリカちゃん」と思われるのが関の山だろう
(ジェニーはリカちゃんの一種と思っている人は多いらしい)。



昔ジェニーが好きだった、という人の目に留まったとしても
子供のおもちゃに三万円はない、と引かれてしまうだろう。



エクセが大好きな人からはクオリティで引かれてしまう。
ジェニーファンはメーカーからバカにされているんじゃないか
とすら思えてくるのは僻み過ぎだろうか。






今ジェニー30周年ということでリカちゃんキャッスルで
エクセが受注生産されているが、それが終わったらもう
国産エクセにはお目にかかれなくなってしまうのだろうか。



90年代、キャッスルエクセがあり、TOTOCOエクセがあり、
おもちゃ屋さんにはタカラ純正エクセがあった。



これからも細々でよいからキャッスルエクセが出てくれることを望む。
この可愛らしさに心惹かれる人はこれからもいるはずなのだから。
それからTOTOCOのおじさんがいつまでもお元気でありますよう。







2016年4月6日水曜日

21年目のエクセリーナ・4 ―そこに至る遍歴の分岐―




マリーンすらどうでもよかった、と書いたが、
それはマリーンがうちに来るまでのこと。


ジェニー誌に載っているマリーンを見てもさほど魅力は感じていなかったのに
1995年3月にキディランドからマリーンちゃんが届いて以来
その可愛らしさにすっかり魅了されてしまったのだ。


だがそれでエクセリーナへの興味を無くしたわけではなかった。


マリーンはエクセリーナを元に作られた、
なんてことは当時は知らなかったがそんなことは関係なく、
私にはマリーンとエクセリーナはまったく別のドールだった。


私にとってのNo.1 ドールはエクセリーナになるはず、と
信じて疑わなかった気がする。


だが気付いていようがいまいが、No.1ドールはけっきょくのところ
幻のエクセリーナからマリーンちゃんにすでに取って代わられていたのだ。







ローゼル(ハッピーカラージェニーのブルー)を買ってまだ間がない頃
大型スーパーのおもちゃ売り場でスィートジェニーを見つけた。


膝まで届く赤っぽい金髪を見て
「これもエクセじゃん、これなら植毛の必要がなくてラクだったな、こっちにすればよかった」
とちょっと後悔した。


こっちにすればよかった、と思いながら買わなかったのは
当時はエクセ含めフレンド一種類につき一人と決めていたからだ。


今思うとバカバカしいが、同じ子が二人以上いたらヘンだと思っていたのだ。
「ジェニーとジェニーエクセリーナ、どうしてジェニーが二人いるの?」と
メーカーに問い合わせる子供と同じ発想だ。
私の場合ジェニーとエクセリーナは別枠だが。







ただし例外はいた。
金髪のエリーがどうしても欲しくて、
ジェニーショップで安売りされていたサーカスブラボーエリーに
金髪を植毛し、もといた波紋エリーとは双子ということにした。
念のいったことにエルという名前まで付けて別人ということにしたのだった
(Ellie-i=Elle)。







一種類につき一人までのマイルールはやっぱり無理があり、
あっちゅう間にナシになった。


今はまったく気にせず欲しけりゃ買う。
ただし本当に気にいった子が手に入ればだいたいそこで物欲が止まってしまう。
例えばすごーくお気に入りのエリーゼを持っていれば他のエリーゼはいらない。
あの子がいるからもういいや、となるのだ(フレンドにもよるが)。





TOTOCOからオリジナルのエクセが出たとの情報を得た時
電話で問い合わせたのだが、仕様を聞いたら
どうも自分が欲しいものとは違うようなので購入には至らなかった。


縦ロール、と言われた気もするのだが値段が6000円台だったはずなので
貞谷紀子さん企画ではなくTO-1(通称パールなし伝説というらしい)
だったのだろうか、時期的に。


とことん欲しい仕様のエクセに縁がないと思われたのだが、
そのTOTOCOからついにドンピシャのエクセリーナが発売された。
茶まつ毛にトヨカロン・アッシュブロンドの長いソバージュだ。


すぐにTOTOCOへ走った。
エクセが欲しいと思い始めてすでに二年以上が経過していた。





TOTOCOエクセリーナ。
エクセが欲しくて欲しくてやっっっと手に入れたあの感激は忘れない。


ある意味うちの頂点のドール。


この子を手に取る時は、あの時感じた非常に高価で
得難いものに触るような感覚がよみがえる。


私にとってこのエクセは、手に取って遊ぶより
飾って少し遠巻きに眺めるためのものという感じだ。


たきもととしこさんのエクセに近づけたくて、
前髪を切り、下まつ毛の先を消して短くした。


コンプリファイルによると96年5月発売だそうだ。
95年に買った気がするのだが、記憶違いだろうか。








2016年4月4日月曜日

21年目のエクセリーナ・3 ―そこに至る遍歴の途中―




検索ワードを見たら、そもそもエクセリーナとは何なのか、
それが知りたくてこちらに辿り着いた方がいらっしゃるようだ。


エクセリーナについての説明はこちら↓にあるので
ご覧になっていただきたい。


ジェニー&フレンズ データBOX(エクセリーナ)


そっちの記事をどうまとめるか悩んでたもんだから
前の記事から間がすげー開いてしまった。


日時設定が2015年1月19日になってたから
書き始めがそれより後ということは絶対ないんだよね…。
もちろん公開する時に日付直してるけどね。








エクセリーナには下まつ毛付き茶まつ毛と
下まつ毛なしグレーまつ毛があるらしいことを知った。


今でこそグレーまつ毛大好きなのだが
当時はひたすら茶まつ毛にのみ惹かれていた。


ジェニー誌に載っているエクセの写真や、
出先で売れ残っていたエクセを見つけて買った話の投稿などが
羨ましくてハフンハフンしながら見ていた。


ジェニーや他のフレンド、マリーンすらどうでもよかった。
とにかく下まつ毛付き茶まつ毛のエクセリーナが欲しかった。





そんなある日、初めて行ったトイザらスで
ハッピーカラージェニーのブルーが残っているのを見つけた。


着る服選びそうで敬遠してたけどこの顔ってエクセなんだよね…。
まつ毛グレーだけどちょちょっと塗り替えて下まつ毛描いて
髪を植え直せばなんとかなるっぽくね?


それにもう二度とエクセが発売されることなんてないかもしれない!
これを逃したら二度とエクセに逢えないかもしれないんだ!


今なら何を大げさな、と思うところだが、当時は
通常のジェニー、ティモテ、オリーブ以外の入手は難しかったのだ。


ネットオークションどころかケータイすらまだ持っていなかった。
地道に自分の足で捜すかジェニー誌の人形情報を読むか
TOTOCOに行き掲示板(リアル掲示板に譲りますなどのメモ書きが貼ってある)
を見るか、それくらいしか古い人形を入手する手段はなかった。


もう少し経つとディーラーからのイベントでの出品が期待されるようになるが
人気のドールは当然争奪戦になる。


見つけた時に買わねば次はない。
買わずに後悔より買って公開が合言葉。


私はハッピーカラーのブルーを買い、さっそくカスタムを始めた。





当時少女漫画はホラー・ミステリーが花盛りで、
よく妹が買ってきたので私も読んでいた。


その中に原ちえこ氏の「星のように雲のように」
(雲のように風のようにじゃないぞ)という短編があった。
可愛らしい絵柄がかなりツボで、
ヒロインが長い赤毛のたおやかな美少女というところが更にツボだった。


こんな風にしたい!
このヒロインにちなんで赤毛にしてローゼルという名前を付けよう!


私は前のめるあまりたきもととしこさんと同じエクセが欲しい
という最初の目標を忘れてしまったらしい。





まだドールのカスタムは一般的でなく植毛用ヘアなんてものはなかった。
いやあったかもしれないが知らなかった。
私は金髪のウィッグを買い、赤みがかった色に染めた。


頭を丸刈りにし、汚れを防止しようと顔全体にボンドを厚塗りして乾かした。
がんばって植毛し、ボンドを剥がしてお湯パーマをかけ、前髪を切った。


そして





・ウィッグを使う時はソバージュではなくストレートを選ぶ

・自分で染めた髪を使うと肌も染まる

・リアルにしようと密に植えすぎると多毛症になる

・ボンドを厚塗りしたら水でふやかして取る
乾いたボンドをそのまま剥がすとアイプリまで剥がれてしまう

・スリーブ代わりのラップを顔が潰れるくらいきつく巻いて
お湯パーマをかけると、顔が変形する


などのことを学んだ。
そして後年痛感した最も大きな学びは


貴重なドールをカスタムすると後悔がハンパない


ということだった。







数年後、首穴から菜箸を突っ込んでお湯に入れてヘッドの形を整え
ボークス植毛ヘアを使って植え直し、剥がれたアイプリはMr.カラーで修復した。
や~れやれ。


人形に名前を付けることなどあまりしないが、この子はローゼルでいいと思うの。




【買わずに後悔より買って公開】
買わずに後悔するよりも買ってドール仲間にこんなん買ったよと公開すること。